和歌山県租税教育推進連絡協議会

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大阪国税局長賞
税金のおかげ
和歌山県立桐蔭高等学校 1年
山本 愛奈

「税金のおかげ」私がそのように感じたのは4年前だった。それまでの私は、税金と言えば働いている大人が主に納めるもので、私達子供には関係がないものだと思っていた。また「税金をとられる」という言葉を聞くので、税金に対してあまり良いイメージを持っていなかった。

私が小学6年生だった4年前の夏に、父が急に病気で入院することになった。検査代、手術代を含めた入院費はとても高額なもので私は驚いた。その時、母に教えてもらったのが、高額療養費制度というものだった。医療費の家計負担が重くならないように、一定の上限額を超えて医療費がかかった場合、その超えた分を支給してもらえるというものだ。そして、その支給してくれるお金に税金が使われているということだった。この制度のおかげでお金の心配をしなくてすみ、母は気持ちに余裕をもって父の看病に専念できたそうだ。税金は私達の日常生活を守るだけでなく、私達が困った時、弱い立場になった時に助けてくれるものでもあると思った。そして、税金はとられるものではなく、私達に「安心と心の豊かさ」を与えてくれるものだと分かった。でも残念ながら、父は翌年の春、この世を去った。闘病生活を送った父も、それを見守った私の家族も、不安やつらさ、悲しみを抱えながらも、穏やかな気持ちで過ごせたのは、税金による支えがあったからに他ならない。

考えてみれば、私達の周りには税金のおかげと思われることがたくさんある。私は今年から高校生になった。義務教育である中学校までは、授業料も教科書代も個人の負担はなくすべて税金で賄われていた。高校になると授業料や教科書代は自己負担だ。でも、高等学校等就学支援金と高校生等奨学給付金という2つの制度があり、所得制限などの条件があるものの、授業料やそれ以外の教育費を税金を使って支援してもらえることを知った。経済的な理由で高校進学を諦めたりすることがないように、社会全体で私達を守ってくれている気がする。

でも、残念なことに、税金の未納者や脱税する人がいるという話を聞く。他人のために自分のお金を使いたくないと思っているのだろうか。もしそうだとしたら、私はその人達に伝えたい。この国では、すべての人が税金の恩恵を受けて暮らしているということを。身近なところでは、道路の整備、ごみの収集、消防などがそれに当たる。納めるべき税金をきちんと納めてもらうために、税金の使われ方、役割を広く理解してもらうことが必要だと思う。

国民の三大義務の1つに納税の義務がある。私は、将来社会人になり、納税者となった時、ただ単に義務だからとういう思いだけで納税するのではなく、この国を支えるのは私達一人一人だという意識を持って税金を納めたい。住みよい暮らしのために。そして、笑顔に満ちた社会のために。

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