和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
みんなが笑って暮らせる世界を作りたい
和歌山信愛高等学校 1年
森口 こうめ

ある日、母がある沢山の書類を書いていた。何の書類を書いているのかが気になって「それ何の書類なん?」と聞くと、「障害者年金を貰うための申請書やで」と言われた。

私の兄は先天性の知的障害を持っており、養育手帳を持っている。兄はこの手帳のお陰で昔から沢山の福祉サービスを受けられ助けられてきた。主な福祉サービスの例としては、保育・教育面での援助や公共交通機関・公共料金の割引、税制上の優遇措置、就労に向けての支援がある。これらの社会保障や、冒頭に出てきた「障害年金」も税金で賄われている。これまで受けられてきた福祉サービスは家族として私も有難いと感じている。特に有難いと感じられたことを二つ紹介する。

一つ目は、教育面での援助の例である、6歳から高校卒業まで通っていたデイサービスの利用料金の割引である。通常、デイサービスの利用料金は1回1,000円から2,000円である。兄は月に23回の12年間通っていたので、もし割引がなければ、全年数で最高70万円負担しなくてはならなかった。

二つ目は、勤労に向けての支援である、障がい者枠での就職が出来たこと。もし「障がい者枠」というのがなく、普通の企業で就職することは勿論のこと、兄にあった職場を見つけることは非常に困難であっただろう。

この二つの福祉サービスを受けられたことは本当によかったと感じている。

だが、良いと感じる一方で、私の母や支援を受けなければならない家庭からすれば、その他の面において困っていることがある。福祉サービスを提供する上で「教育面や経済面において、様々な支援やサービスを受けることが出来るため社会生活における困難を軽減できる」とされている。
しかしながら、少ししか困難を軽減されていないのが現状だ。確かに、障害年金を貰えることによって、生活面ではとても助かるが、実際に給付される月6万円から8万円だけでは生活を維持することは困難だ。また、この障害年金の申請書を書くのは大変なこと、審査が非常に厳しい。兄はまだ受けられるかは分からない。もしかしたら受けられないかもしれないとという不安も母の中にはある。

税金の内訳で、社会保障が占めている割合は大きいが、実際には私の家族のように、困っている人が大勢いるというのが背景にある。

私はみんなが笑って暮らせる環境を作りたい。これが現実となるためには、税金の使い道を改善するべきではないか。例えば、政務活動費に費やす費用を少し削減し、社会保障費として障がい者や一緒に暮らす家族への支援金に出来る。税金が本当に困っている人に使われるようになれば、納税するときも気持ちが良くなるだろう。そうなれば、納税者や支援を受ける人、みんなが笑って暮らせる世界になっていくだろう。

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