和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
税の大切さを刻む
学校法人大阪初芝学園初芝橋本高等学校 2年
竹下 知歩

渡したい物がある、と両親から渡された物は、私名義の預金通帳でした。「え、何これ?」と驚く私に、母が「もう高校生だし、自己管理での預金も大切だよ。」と話してくれました。その通帳には、10万円が預金されていました。新型コロナウイルス感染症緊急経済対策として、受け取った特別定額給付金の私の分を、私名義の通帳に入金してくれたのでした。確かに、私が頂いたお金だけれど、本当に私が使っていいのか?と、私は少し恐縮した気持ちになりました。

しかし、母からお金を預けておくと、利息を貰う事が出来、その利息から税金が引かれるのだと聞かされました。預金をする事で、税金を納めることが出来る事を、私は初めて知りました。

今回頂いた特別定額給付金は、財政からの出資で、つまり国民の税金から頂いたお金です。どう使うかはもちろん自由だけれど、私は使わずに、もっと税金が払えるような誇りを持てる社会人になれるよう、今は学業を頑張らなければ、と改めて思いました。

今、想像もつかなかった新型コロナウイルスの流行によって、当たり前の生活が当たり前ではなくなっています。

毎年当たり前のように行われていた行事が開催中止や、延期となる中で、甲子園高校野球交流試合が開催されました。開会式の高野連会長の挨拶の中で「ありがとうの対義語は当たり前です。ですが、周りからの支援や支えは、当たり前ではなく奇跡です。」と話されていた事が、私の胸に深く刻まれました。

私の母は、毎年市で実施されている、癌検診を受けています。七年前に、初めて母が無料だから、と集団検診を受けた時に大腸癌が見つかり、手術、抗がん剤治療も受けました。集団検診のお陰で、母の命が助けられたのです。今年は、集団検診の延期のお知らせが届き、当たり前のように受けられていた検診が受けれなくなり、私は、母の体が大丈夫か不安になりましたが、母から主治医の先生に、定期的に見てもらえているから大丈夫だよ、と聞かされ安心しました。母は、今まで市民税から無料で集団検診を受けれていた事に感謝しなければいけない、と話していました。

私の住む岩出市では、新型コロナウイルス感染症対策として、水道料金の基本料金が免除になったそうです。今は、当たり前に思っていた事が出来なくなる分、税金を使って助け合う制度や対策が、各都道府県や市町村で行われています。

今だからこそ、税金の大切さを実感出来るのではないか、と思いました。必ず終息は来る、でも絶対に忘れてはいけない、当たり前だと思っていた事は、税金によって支えられている奇跡なんだという事を、初めて手にした通帳に刻まれた年月日と、入金された最初の10万円が、いつまでも私に、この事を教えてくれるのだと思いました。

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