里 莉子
「私の税、みんなの笑顔のもとになれ」
これは、私が中学3年生の時に考えた税の標語だ。有田地方租税教育推進協議会会長賞をいただき、今、有田川町役場の近くの看板に大きく掲示されている。私は、その標語を見る度に、心の中で読み返す。
「みんなの笑顔のもと」という言葉を選んだのはこれまで「税金」は、国民の「健康で文化的な生活」を実現するために必要不可欠なものであると学んできたからだ。高校生になった今、あらためて「税金」と「みんなの笑顔のもと」について考えてみることにした。
高校生の私にとって一番身近な税金は、やはり消費税である。昨年8%から10%に引き上げられた。支払う税が増えたことばかりが注目された印象であるが、調べてみると、この増税分は、今不足している年金や医療などの社会保障のための費用として使われていることが分かった。また、これまでの消費税より使い道が広げられたことも分かった。これまでは医療や介護など「高齢者中心」だったが、子育て世代にも拡大し、「全世代型」の社会保障制度へ転換したそうだ。新たに加わった主な使い道には「幼児教育・保育の無償化」「待機児童の解消」「高等教育の無償化」などが挙げられる。もちろん、高齢化社会が進む中、「介護職員の処遇改善」や「所得が一定以下の年金受給者への給付金の支給」などにも使われるそうだ。これらの対象になるには、所得制限などの条件があるが、共通するのはどれも世代を問わず「困っている人々を笑顔にするために使われる」ということだ。
今の私の世代に関係してくるのは、「高等教育の無償化」であるが、将来もしかすると私も介護職につくかもしれないし、母親になるかもしれない。父母の介護に苦労したり、自分の老後に不安を感じたりすることも出てくるだろう。でも、困った時に税金が自分を支えてくれる制度があると知り、私は笑顔でがんばれそうな気持ちになった。明るい未来が見えた気がした。
自分の学びたい学校でいきいきと学ぶ学生さんの笑顔。子どもを保育所に預けて安心して仕事ができるお母さんの笑顔。高齢者の方々に愛情をもって介護する介護士さんの笑顔。治療や介護を受けながら安心して生活を送るお年寄りの笑顔。そして、未来の自分の笑顔。
あまり大きな買い物をしない私が払う消費税は、大した額にならないかもしれないが、それでもそれが、「みんなの、そして私の笑顔のもと」になっていると思うと、私の税は価値があるものだと感じ、誇らしい気分になった。