和歌山県租税教育推進連絡協議会

ホーム税に関する作文税に関する高校生の作文一覧 > 高校生の作文表彰作品
国税庁長官賞
優しさのバトン
和歌山市立和歌山高等学校 1年
黒木 碧

「税込価格を見ると、どうしても気分が下がっちゃうなあ。」私は買い物をするとき、いつもそんなことを思っていました。だって、一緒に表示されている税抜価格の方が安いし、安い方を見ると安い方で買い物をしたくなってしまう。「なんで消費税ってあるんだろう?消費税がなくなっちゃえば、食材を買ってくれているお母さんやおばあちゃんの負担も少し減ると思うんだけどな。」私は小さい頃、こんなふうにも思っていました。

税がどんなことに使われているのかよく知らず、税の必要性をあまりよく分かっていなかった私ですが、消費税含め、税金についての資料を見てみると、税金は医療や上下水道の整備、ゴミ処理費用など、私たちの生活に必ずと言っていいほど関わってきているものに使われているほか、被災地の復旧など、例え自分に直接関係していなかったとしても力になりたい、力になりたくても自分の力ではどうにもならないこと、例えば仮設住宅の建設にも使われており、このことを知った時、もちろん、今税金を払って日本を支えてくれているのは、自分の両親や先生たち大人だけど、私も自分の買い物をする時に払う消費税でほんの少しでも被災地で頑張っている人たちや、自分の周りにいる大切な人たちの力になれているような気がして、なんだかうれしくなりました。

税金は、自分や自分の周りの人たちの普段の生活や、災害などに巻き込まれた時の生活を支えてくれる、かけがえのないもの、だということは確かですが、それだけではなく、私は、税金が、「仕方なく」「義務だから」払われるものではなく、自分の大切な人や、今どこかで困っているだれかのために払うような、だれかに対するおもいやりのつまった「優しさのバトン」みたいなものになればいいなと思います。今、世界中で流行し、多くの人を苦しめている新型コロナウイルスですが、この状況下にいる人たちを少しでも笑顔にしよう、元気づけよう、としてくれている人や団体のことが報道され、その報道を見て暖かい気持ちになったり、自分も苦しんでいる人たちを少しでも助けたいと思ったり、いろいろな人たちの優しさや思いやりによって公開された雑誌やライブ映像などを見て、笑顔になれたり、元気をもらった人はたくさんいると思います。私も、笑顔と元気をもらった人のうちの一人です。こんなふうに、優しい気持ちが人から人へ伝播していく、そんな「優しさのバトン」が税金という形でも、つながっていったら、とても素敵だなと思います。

私が今払うことのできる税金は、買い物をした時の消費税くらいで、今の私の生活にかかる税金は両親が払ってくれていますが、自立して、自分で自分の税金を払うようになったら、そのときは、私も「優しさのバトン」をつないでいけるように、税金を払っていこうと思います。

税に関する高校生の作文一覧へ戻る