和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
税は「みんな」のものだから
和歌山県立日高高等学校 1年
藤田 恵理子

この頃、家の近所の景色が少し寂しくなったように感じる。古い空き屋などが数軒解体され、更地になったためだ。「消費税率が上がるから」「住宅にも税金がかかる」解体された理由は分からないが、なるほど、こんなところにも税が関わってくることがあるのだな、と驚きを感じた。

選挙のシーズンを過ぎ、国際情勢や台風など、色々なニュースが取り沙汰される中、「税金」「消費税」に関する情報はだんだんと少なくなってきた。増税前に、というキャッチコピーを見ることもめっきり減った。それにつれて税について考える機会が減っていた矢先のことだったから、余計に驚いたのかもしれない。財布に一円硬貨が溢れるのにも慣れ、その意味を考えなくなったから。

税金はみんなが出して、みんなのために使うものだ。公共事業、社会保障、教育。台風に医療費、学校など、自分たちに身近なものも多い。自分たちの生活は税のしくみがあるからこそなのだ。だが、その仕組みは将来において危うい。住民として国や地方自治体に望むことは多い。しかしそれを叶えていく側は限られた財源でやりくりして必要なものを維持しながら願いを聞いていくしかない。少子高齢社会、働く現役世代が減り、財源は減るが、他の国のように消費税率をむやみに上げてもその分社会保障などその他の何かを強化するのは難しい。ではどうするか。

まず、集め方についてはいい案が浮かばなかった。メリットやデメリットを考慮し組み合わされた現行の方法はよいものだと思う。

そこで使い方、やりくりを考えた。税は「みんなのため」のものだ。ならばお金という形にこだわらずに「みんなで」負担していけばカバーできるのではないだろうか。例えば、ゴミ処理費用。3Rを進める、ゴミ回収場所を減らしその分をドローンやロボット、地域当番で回す、分別の種類を増やすなどの方法をとれば、処理場の稼働や回収にかかる燃料、人件費を抑えられる。健康診断を義務づければ、未然に防げる病気が増え、医療費が減る。じゃあ乗り合いタクシーはどうか。ラジオ体操だって。負担といえば重く感じてしまうが、税も公共サービスも元は人々の「助け合い」なのだから、地域の繋がりやちょっとした意識の違いが大事ではないだろうか、と私は考える。これから新技術が発達していくならば、さらにその負担も減らせるだろう。あながち理想論だと言い切ることはできないと思うが、どうだろうか。

小さな意識から、を踏まえて、今の時点で自分にできることは、節水や節電、3Rへの取り組み、そして税のニュースや情報に触れて考えることで税への理解を少しでも深めていくことだ。そうやって考えて、形にしたり意見として言っていくことで少しずつ社会が変わっていくのだと思う。他人任せではなく「みんな」の一員として意識し、それを忘れないようにしたい。

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