和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
嫌がらないで
和歌山県立串本古座高等学校 1年
阪本 由芽

みなさんは、二〇十九年十月一日から、消費税が八パーセントから十パーセントになることを知っているだろうか。「増税なんてやめてほしい」。そんな声があちこちから聞こえてくる。確かに、増税されると、買い物の時今までより高い金額を支払う必要があるので喜ばしいことではないかもしれない。では、一体何のために消費税を八パーセントから十パーセントに引き上げるのだろうか。これについて私は以下のように思う。

消費税増税の理由は、社会保障費の財源を増やすためである。社会保障費とは、健康保険などの医療、介護、年金、そして生活保護などの社会福祉などさまざまな場面で使われている税金のことである。現在の日本では、少子化と高齢化が同時に生じる、少子高齢化が急激に進んでいる。そのため、医療費などの社会保障費が大きく増加し続けており、より多くの費用を必要としているのである。ここで一つの疑問が出てくる。なぜその他の税ではなく、消費税を増税させるという決定を政府はしたのだろうか。これは現役世代の負担を配慮した上での決定である。少子化も進んでいる現代社会では、働く人々が減少している。そのような状況にも関わらず、所得税や法人税を増税してしまえば、現役世代に負担が集中してしまう。よって、増税をするべきなのは、年齢を問わず、国民全体で幅広く負担する消費税であるということになったのだ。

少子高齢化が進む日本で暮らしていくことに不安を抱えているのは、現役世代も高齢者も同じである。「老いが進んでいる自分はこれからどうなっていくのだろう。」「もしも、自分や大切な人に何かあった時、救急車を呼べばすぐに来てくれるのだろうか。」「一人暮らしが難しくなってきたな。」「この病気と一生向き合いながら生活していかなければならないのか」。高齢者はそう思っているかもしれない。「私たちで増え続ける高齢者をきちんと支えていくことができるのだろうか」。現役世代はそう思っているかもしれない。そのようなおのおのの不安事や心配事を解消するために税はある。今よりももっと快適な日々をたくさんの人々に提供するために増税される。税があるから、助け合い・支え合いの社会は成り立つ。今、あなたが買い物で払った消費税。それは誰かの不安を取り除いている。安心させている。だから増税を嫌がらないでほしい。増税を通じて、誰かを幸せにすることができると思って受け入れてほしい。あなたの税金は日本を笑顔にさせている。

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