和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県知事賞
税金へ
和歌山県立田辺高等学校 1年
井田 慎一郎

わたしは小さい頃からよく病院のお世話になっている。高校に入学してから、自分でお金を払う機会があった。何気なく領収書を確認すると、決して安くはない金額が書かれていた。生まれてから中学校卒業までの十五年間、町の医療費助成制度により医療費が無料だったことを考えると、わたしは社会によって生かされてきたのだと感じた。

一時病状が重いときもあり、支えがなければここまで元気に過ごせていなかったかもしれない。また県外の病院でも制度が適用されていたことを知り、深い感謝しかない。

この制度は、町民から集められる税金によって成り立っている。もし税金がなければ、高度な医療サービスは受けることができないだろう。助けられる小さな命を助けられないかもしれない。税金のありがたみがよく分かった。

子どもだけではない。この国に生きるすべての人は税によって、社会によって支えられているのではないか。ごみ収集や福祉、道路の整備は生活するうえで欠かせない。それらのサービスなどを受けることができるのは、社会が、自分以外の誰かが、税金を払ってくれているためである。逆に言えば税金を払うことで他の誰かもしくはみんなが住みやすい環境になるということである。

高校生が実際に払っている税は消費税ぐらいだが、これから数年後、就職すると本格的に税金を払い始める。そんな中で、もしかすると税金を払いたくないと思うときもあるかもしれない。そんなとき、他の誰かのおかげで今自分は不自由なく生活できていること、自分の払う税金で笑顔になる人がいると考えると税金は必要で払うべきものだということが改めて分かるだろう。みんながこの意識を持てば税金滞納問題はなくなるに違いない。

しかし、税金は払っているけどなんとなくで、特にどう使われているのか知らない、興味がないという人もいるということをきく。それは問題だと思う。わたしたちがきちんと税金を払っていても、それがみんなの利益になるように使われていなければ元も子もない。税金の使われ方を注視し、ときには声を上げることも必要かもしれない。税金の使い道にみんなが納得し有効に使用されてはじめて、税金に本当の価値が生まれるはずだ。

わたしたち高校生にできることは、数年後の納税開始に備え、まず税金に関心をもつ。次に情報を集め、実体を知る。わたしたちにできる、最も大事なことは税金に感謝することだ。

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