祭本 真由
消費税率引き上げ。老後一〇〇〇万円問題。税金の不正使用。
税金に対してマイナスイメージの強い報道が世の中を飛び交っている現代、私たち国民の中で、納税に前向きになれない人が増えつつある。
その原因として、税金の使われ方の不透明さが考えられると思う。では、何が税金の使われ方をそこまで不透明にしているのか。主に二つのことが関係していると私は考える。
一つ目は、納税者が税について考える機会が少ないということだ。これに対して、自分で情報収集をすればいいのではないか、という意見もあるだろう。しかし、忙しい現代の働く世代にとって、唯一の手軽な情報収集源であるマスメディアは、税に関してネガティブな報道をしていることが多い。それでは、負担の大きい働く世代が、納税に前向きな姿勢を示せないのも当然だ。
二つ目は、政府が発表している予算案が大まかで規模が大きいため、国民が日常生活において税金で賄われている多くのことに、ありがたさを感じにくいということだ。つまり、政府の国民に対する情報の発信不足だ。
このようなことが、税金の使われ方の不透明さを生み、納税者が不信感を抱くきっかけになるのだ。
一方で、税に対してネガティブなイメージが強い中、国民の評価が高いのが「ふるさと納税」だ。ふるさと納税は自主的に納める税で、義務化されたものではない。だが、他の税より人気がある。それは、納税者が納める税金の使われ方を指定し、知ることができるうえに、地場産品が謝礼として返ってくるので、納税者にも還元される。そうやって、納めた税がどういう意図で使われ、自分たちの生活にどのように還元されているのかが明確だから、このふるさと納税に好印象を持つ人が多いのだと思う。
これらをまとめて、現代の税制度の問題点は情報量の欠如で、それを克服した納税方法がふるさと納税、ということになる。
税の在り方というのは時代ごとの風潮に応じて変化してきた。新元号「令和」になり、新たな時代へと進み始めた今もまた、その改革を迫られている時期なのだろう。情報化社会と言われるこの時代、私たちはあらゆる情報の吟味、取捨選択をする力を求められている。そんな時代における税の在り方。それは「情報における信頼関係の構築」ではないかと私は考える。政府は、善悪問わず税に関する正しい情報を、すべて発信する。国民は偏った意見に影響されず、正しい情報の中から善悪を判断する。そうやって築かれていく信頼関係の下に、税は存在するのだと思う。
私もあと数年で成人式を迎える。これからの日本を担う一国民として、税に真剣に向き合うことは、一人の立派な大人としての責任ある行動だと思う。そんな大人になれるよう、税への理解を深めていきたい。