和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
税金を通して支え合う
和歌山県立田辺中学校 3年
 山本 真桜子

今から六年前の三月十一日、宮城県牡鹿半島沖を震源とするマグニチュード九・〇の東北地方太平洋沖地震、東日本大震災が発生した。この地震で、場所によっては十メートル以上もの津波が発生し、東北地方と関東地方の沿岸部に壊滅的な被害をもたらした。また津波以外にも、液状化現象やダムの決壊などによって、東京湾を含む広大な範囲で被害が発生し、ライフラインが寸断されたという。当時私はまだ小学二年生で、地震が起こったことは理解していたが、それがどれだけの被害をもたらしていたかまでは分からなかった。

震災から二年後、被災地の復興のために使うことを目的とした復興特別税がつくられた。これは私もニュースで見た記憶があった。復興特別税は法人税、所得税、住民税に上乗せする形で、がれきの処理や仮設住宅、復興住宅の建設に使うため、平成二十五年から二十五年間に渡り納める税金である。「今はあまりニュースでも報道されていないけれど、被災地の現状はどのようになっているのだろうか。」そう思って調べてみると、震災直後に約四十七万人いた避難者数は二〇一六年の一月時点では約十八万人にまで減少したそうだ。しかし、復興住宅や集団で移転する高台の造成の遅れにより、最長で八年間仮設住宅で暮らす可能性のある人も出てきたそう。私はこの現状に驚きを隠せなかった。いつ元の暮らしに戻れるのだろうという不安を抱えながら仮設住宅での生活を余儀なくされている被災者の方々が何万人といるのだ。それなのに、被災地復興の現状を伝えるメディアはめっきり減少し、それによって被災地のことを忘れかけてしまっている私たちがいる。改めて現状を知った私は、とてもやるせない気持ちになった。

「何か自分に出来ることはないだろうか。」と思う気持ちは、行動に移さなければいつの間にか薄れてしまっていたりする。もちろん行動に移すには勇気がいる。東日本大震災から一年、二年と経っていくうちに「自分には何ができるのだろう。」と思うようになったが、被災地の現状を伝える報道が減ったことで、その思いは薄れていた。そんな時、税金が大きな役割を果たしているのではないかと私は思う。税金の使い道はさまざまで、今までもそしてこれからも社会を支える土台になっているのだろう。税金についてよく知るためにも、残り少しの義務教育をしっかりと受け、社会に出たとき自ら行動できるような人になりたい。そして将来、税金を通して人と人のつながりが広がりお互いを支え合える社会になっていれば良いと思う。

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