和歌山県租税教育推進連絡協議会

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近畿税理士会会長賞
安全安心素敵な国 日本の会費だよ税金は
和歌山県立桐蔭中学校 2年
 中山 結夢

「おうい、お母さんの携帯とって。早く。」
平日の早朝、母の叫ぶ声に私は目を覚ましました。まだ午前六時にもなっていません。母の声に飛び起きた私は、すぐさま母に携帯電話を渡し、また布団に入ろうとしましたが、母の何とも言えない慌てた様子に、眠ることができませんでした。つい先日のことです。毎朝、犬と散歩に出かける母は、近くのゴミ捨て場のところでうずくまる一人のおばあさんを見かけたそうです。声をかけても、言葉ではなく、うめき声のような反応を返すばかり。よく見ると、いつも見かける近所の一人暮らしのおばあさん。初めは家までおんぶして連れて行こうと考えたそうですが、「一人暮らし」という言葉が頭をよぎり、おばあさんの反応を弱さとで、救急車を呼ぶことを決意。すぐさま携帯電話を取りに走って戻ってきたというわけでした。おばあさんは、救急隊員の方々により搬送されていったそうです。

朝から汗まみれの母。朝食を食べながら、半ば興奮気味に朝の出来事を話す母を見ながら、私はあることを思い出しました、それは「救急車を有料化に」という話題です。実はこの時、学校で私は、この話題をもとにディベート学習を進めていた真っ最中でした。
「タクシー代わりにする不適切な利用者がいるから、救急車は有料化にすべきだ。」
「でも、本当に生活に困っている人にとっては、お金がかかるからと救急車を利用せず命が助からないこともあるかもしれない。」
私たちの中で、様々な意見が戦わされました。救急車有料化の肯定派も否定派も、それぞれの利点や課題などを様々に調べました。ディベートは白熱するばかり。私の心の中は。正直どちらの考えにも共感でき、複雑なままでした。

そんな時、夕食を食べていると母が言いました。
「あの時のおばあさん、脳内出血だったんだって。すぐ救急車を呼んだから命に別状はなかったらしいよ。良かったわ。遠くに住んでいる娘さんが来て、お礼を言ってくれてたよ。ほんま、良かった。」
母の安どした顔を見ていると、私にある思いがこみ上げてきました。

救急車の費用には、もちろん税金が使われています。一回の要請に対して一~二万円どころでは済まないそうです。でも、私は金額の問題ではないと思います。ここに存在するのは日本の「和の心」です。社会における秩序や調和、礼儀を重じること。私たち日本に人には、生活の中に自然と存在する心なのです。税金は、そんな素晴らしい心ある日本に住む私たちの、いわば会費ではないでしょうか。

私は大切にしたいです。互いを尊重し、助け合う、この「和の心」とそのための税金を。

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