和歌山県租税教育推進連絡協議会

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全国納税貯蓄組合連合会優秀賞
陰で活躍する税金
和歌山信愛中学校 2年
 永嶋 未来

私は「たま電車」で有名な和歌山電鐵貴志川線を利用して通学している。「たま電車」といえば現在、外国でも通じるレベルまでとなった。デザイナーは九州新幹線つばめのデザインもした水戸岡鋭治さん。たま駅長はフランスのドキュメンタリー映画にも職業を持つネコとして登場した。外国からの観光客は年間六万人にものぼる。残念ながらたま駅長は二〇一五年六月に亡くなり、次の駅長はニタマになったが、和歌山電鐵の集客力は衰えていない。しかし、この貴志川線にも苦しい過去があったという事実を、たまについて調べているうちに発見した。

貴志川線の歴史は前身の山東軽便鉄道時代も含めると約百年にもなるらしい。和歌山電鐵の前は南海電鉄貴志川線。運営は黒字の時代もあったが、周辺住民の移動手段がマイカーになるにつれ、赤字が膨らみ、存続させるのが難しくなった。通勤、通学の足となる電車の廃線を食いとめるために署名も集まったが、南海の決定は取り消されなかった。救いの手を差し伸べたのが岡山電気鉄道と和歌山市、及び紀の川市の税金だということを知った。小嶋社長はメディアでよくたまを抱いている姿を目にしてきた、赤字ローカル線を救った社長さんだが、貴志川線の運営に二〇〇六年から和歌山市七割、紀の川市三割で十年間で最大八億二千万円の公的補助金、つまり税金が充てられることになっていたのだ。税金のイメージといえば正直、買ったものの総額が高くなる消費税、住んでいるだけで取り上げられる住民税といったものしかなかった。このように自分たちの生活に不可欠なものを支えてくれている存在だということは驚きだった。

二〇一六年以降の十年は、和歌山市、紀の川市、和歌山県の税金が設備費・修繕費に充てられる形を取ることになった。理想は税金の投入なしに成り立っていくことだろうが、沿線の住民が車の利用を控えて貴志川線を常に利用することは難しい。(自宅から最寄り駅まで一・五キロ。通学には最寄り駅まで自転車を利用している。ついつい親に送迎してもうらう容易さをとっている。)ただし、便利な車も温暖化防止の観点からすると電車に劣る。車に二人乗るとして、一人あたり、一キロあたりの二酸化炭素排出量は、車が電車の約五倍というデータもある。一人の便利が一つしかない地球の温暖化を促進させてしまうと思えば、車を使いたい気持ちも抑えられる。

自分と貴志川線と地球の共存のためにも、できるだけ貴志川線に「乗って残そう」と思う。税金のお世話にもなりがら。

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