和歌山県租税教育推進連絡協議会

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和歌山県租税教育推進連絡協議会賞
国への信頼と税金
和歌山県立桐蔭中学校 1年 土橋 小乃花

二〇一七年四月に消費税が十パーセントに引き上げられます。二〇一四年四月にも増税され、そのさい「増税反対」「消費税が上がるのはいやだ」という声をよく耳にしました。「消費税が上がる」と「家計の負担が増える」はイコールで結ぶものだと思っている人が多いようです。実際、私もそう思っていました。しかし、その考えをくつがえす事実を知りました。「国民の幸福度ランキング」で世界一位のデンマーク。幸福度世界一位ということは家計の負担も少なく納税額も少ないんだろうな……。たいていの人はこう考えるでしょう。しかし、デンマークの消費税は、なんと二十五パーセントもあるのです。日本の約三倍もの額です。それに加え所得税も高く年収の三分の一が税金でもっていかれます。税金がこんなに多いと負担も大きいはずなのになぜ、国民は幸せに暮らせているのでしょう。

デンマークは国民の負担が大きい分国のサービスが充実しているのです。くわしく調べてみると、医療費も教育費も出産も学校も無料だそうです。働く母親に優しい育児制度により待機児童はゼロです。デンマークは実にたくさんのサービスが充実しているのです。その中でもとくに素晴らしいと思ったのが、「成人の十八才になると生活費がもらえる」サービスです。デンマークでは十八才になると自立のため親元を離れて独立します。しかし、十八才はまだ学生なので生活していくのは難しいです。そこで国が生活費を支援してくれるのです。日本は公共施設を建てるときや医療に関すること、教育に関することには支援してくれますが、「その人の自立のため」には支援してくれません。機械的なことだけでなく道徳的なことまで支援してくれる、デンマークの制度に感動しました。

税に関することでデンマークと日本にこれだけの違いがあるのは、とても驚きました。しかし、高負担に反発はないのでしょうか。デンマーク人には「みんなのお金でみんなが幸せに暮らす」「みんなが協力して社会をつくる」といった「共生」の精神が浸透しています。その精神をもっているからこそ国を信頼して高負担を受け入れているのです。ここが日本との決定的な違いであると思います。デンマークの政治家は給料が低く、議員は高い報酬を狙ってではなく、国を良くしたいからその職務についているので、国民は国を信頼できるのです。しかし日本は、政治家は高給であり国民の信頼はなかなかプラスに向きにくいので何かやるとき、例えば消費税を引き上げるときなど「本当にちゃんと使ってくれるのか」と、反発がでやすいのだと思います。税金と国への信頼は深く関わりあっているのです。日本もデンマークのようにしろとはいいませんが日本、日本人の良いところを生かして国民と国を信頼で結べるようになっていってほしいです。

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