和歌山県租税教育推進連絡協議会

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公益財団法人納税協会連合会会長賞
生活を支える税
近畿大学附属新宮高等学校 1年 岩﨑 さら

昨年の冬、兄に日本年金機構から封書が届いた。国民年金加入の案内だった。二十歳を迎える兄に案内や書類が届いたのだった。

年金というと老後のためのものという漠然とした知識しかなかったので、その案内に私も目を通してみた。年金は老後だけのものではなく、病気やケガで障害が残った場合「障害年金」があり、残された家族のための「遺族年金」もあることがわかった。いざというときの生活を支えてくれるものであり、国民全体を現役世代が順番に支えていく仕組みなのだ。協力体制の上で成り立っている制度なので、義務として保険料は納めていく必要があることを認識した。国民年金に加入し、要件を満たした者が所定の年齢になってから受給する年金の半分は国庫負担(税金)で賄われていることも分かった。還ってくる時は半分も国が負担してサポートしてくれていることに驚き、国民の生活を生涯守ってくれることに有り難さを感じた。

国民年金の納付率は現在六十パーセントで、若い世代の納付率はかなり低い。将来の年金受給の不安や保険料支払いのたいへんさなど様々な理由があるそうだが、理解を深めて広い視野で見つめ直していくことも必要だと思う。生涯安定した暮らしを支えるために受給にあたっては納めた保険料だけではなく税金も使って支えてくれるのだ。納付しないことは、細やかにサポートしてくれる将来の保障を、いざというときの保障を断っているようなものなのだ。理解すること・知ることは本当に大事で、そこから税の意義や役割を認識することへと繋がり、自分の将来や身の回りのことを考えることにも繋がっていくのだと思う。

急激な高齢化を背景に年金・医療・介護等の社会保障の給付は大きく増えている。私達の健康や生活を守るためにたくさんの税金が使われているのだ。今年の予算では三十一兆円を超える額となっている。生涯安心して暮らせる社会作りの根底には社会保障の充実が欠かせない。高齢の祖父と毎日一緒に食事をしているが、健康に関する話題が多い。日々の体調の変化にとても気を付けている。高齢になると体調管理は想像以上にたいへんそうで、病院で検査をしたり相談をしたりを繰り返している。祖父が米寿のお祝いができるまで健康で長生きできたのもしっかりした医療体制や社会保障の充実があったからこそだと思う。税の恩恵は目に見えにくいものであるが、家族が健康で毎日揃って食卓を囲めるのも、税による生活を守る細やかな行き届いた制度のおかげであると思う。

身の回りをよく見て考えてみると税により支えられていることが多い。税によって成り立っているものの内容をしっかり把握し、理解することは幸せな社会を考えることに繋がっていくと思う。一人一人の理解が深まることで納税の大切さを感じることができると思う。納税者となる将来に向けて、税の仕組みなどしっかり勉強したいと思った。

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